はじめに
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当研究室では発足当時から、かまぼこに関連する基礎から応用分野までの幅広い研究をしています。かまぼこが伝統食品ならかまぼこに関する研究は、当研究室のお家芸というところです。
何故かまぼこのようなマイナーなものを研究するのかという疑問もあるかもしれませんが、水産加工品総覧という本のはじめに全国水産加工品主産地地図というものが掲載されています。これには、各都道府県の水産名産品が地図中に記されていますが、ほとんどの県で特有の水産ねり製品(かまぼこ類)が載っています。それほど水産加工品の中ではかまぼこは重要な位置を占めているわけです。もちろん生産量も年間60万t以上あり、水産加工食品の中では最も力を注ぐべき品群の一つです。
ここ数年、当研究室では市販かまぼこの品質が地域でどのように違うのかを調べています。これは、品質の良いかまぼこを安価に製造する技術を開発しようとした時に、良いかまぼことはどのようなものか知る必要があったためです。全国レベルでかまぼこの品質を調査して、それぞれの地域に特徴があるのかどうかを客観的な数値で表すことにしました。
かまぼこの品質といっても外観、味、におい、食感など様々な項目が関係します。しかし、かまぼこの場合には、何と言っても足(あし)が重要です。足とはかまぼこ特有の品質を示す言葉で、食べた時の弾力性のことを言い表す言葉です。麺類では腰(こし)という麺特有の食感を言い表す言葉があるのと同じです。
そこでかまぼこ特有の足を表すための表現方法を工夫しました。当研究室では、かまぼこの弾力性を測定するための測定装置を用い、押し込み破断試験と応力緩和試験という2種類の測定手段を用いて地域毎のかまぼこの足の違いを調べてみました。それをかまぼこのお国柄と題したわけです。実験結果を紹介する前にかまぼこの基本知識を載せておきます。種類のところでも、地域の違いが分かると思います。
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